最終更新日　：　2007.11.19

ヘリコプター習得への道　-エア台で飛ぶ前の準備-

　最近は縦回転中心の技が主流になってきましたが、それでも一般のスキーヤー（モーグラー）の間ではそれほど浸透しているともいえません。未だにヘリコプターを決められれば「すごい」という賞賛をもらうことでしょう。ところが、このヘリコプターという技は思っているほど難しい技ではないのです。それにも関わらず、ヘリコプターが難しいと感じられるのは、正面を向いたままではなく、横に一回転する際に目線が変化してしまうからでしょう。あるいは、「後ろから着地してしまったらどうしよう」とか「回りすぎてバランスを崩したら危ないのではないか」という失敗への恐怖心が他の技に比べて強いのかもしれません。

　とにかく、ヘリコプターをできない（挑戦できない）理由はいろいろあるでしょうが、スキー場へ行く前に公園などの平地で練習すれば、実際にスキー場のエア台で飛んでも、けっこう簡単にできちゃったりするものです。今回はスキー場へと行く前準備として、基本的なことと、間違いやすい点を指摘してみようと思います

* いきなり一回転するのは少し難しいので、最初は180度ずつ回ればよいでしょう。

	(1)　左回転をする場合、左手を正面に持ってくると同時に、しっかりと伸び上がるための"ため"をつくっておきます。
	(2)　（実際には）エア台の先端にビンディングが来た瞬間に伸び上がります。このとき、左手と右手を入れ換えるようにして伸び上がります。
	(3)　伸び上がったら自然に回転していきますから、途中で妙な（不必要な）動作や力を加えないようにしましょう。
	(4)　飛び出しから真後ろを向いたときです（180度回転）。ここで目線を回転する方向に向けると、若干、首を回すような感じになります。目線を進行方向へ向けることによって、回転を助けます。
	(5)　大体、この辺りから着地地点が見え出すので、落ち着いて着地の準備をしましょう。とはいっても、特に何かをするのではなくて、自然の回転力に任せて着地する場所をみればOKです。
	(6)　着地する寸前です。平地では高さがないので、少し窮屈目ですが、エア台では余裕があるのであまり心配しなくても良いです。
	(7)　着地。写真(6)の時点で板が変な方向を向いていたり、あるいは体が正面を向いていないようだと着地すると気にバランスが崩れてしまいます。

　さて、上の写真をみてもらうと分かるはずなのですが、回っている最中はあくまでもリラックス状態にあることが重要です。これが、「しっかりと回さないといけない」などと考えると、余計な力が入ったりして空中でのバランスが崩れてしまうので注意してください。どうしても回らなくてはいけないという意識が強くなってしまうのですが、かるくポーンと伸び上がって自然と360度回ってしまったという感じで大丈夫です。

　それから、写真(4)でより顕著にその特徴がみてとれますが、回っている最中は、腕が地面に対して水平になっているようでなくてはなりません。失敗例として多いのは、無理に回そうとしすぎて、左肩が下がってしまうことがあります。そのような場合、着地のときに前につんのめる感じで着地してしまい、その結果として板が外れてしまうことがあります。ちょっと着地が窮屈であると感じた場合は注意した方が良いかもしれません。

　また、180度の時点で、そこから回りきれずに後ろ向きで着地してしまう例もそれなりに多いようです。これはビビッて伸び上がる瞬間の動作が弱くなってしまっているか、あるいは180度から（写真(4)でも説明したように）目線を回転方向へ向けていないことが原因です。これを体感してもらうためには、まず両手を開いて正面を向いてください。それから回転方向を見るようにして、首だけをグイッと回してみてください。すると、自然と上半身がねじれて回る感じがわかるはずです。

　ところで、どうしても両腕が地面と平行にならない場合の矯正法をお教えしましょう。以下の写真のように、最初から腕を重ねるようにして肩の位置において構えます。あとはすでに紹介した要領で一回転します。こうすると、肩というか腕の位置がより顕著に把握できるのでよいかと思います。いずれにしても、高さ的には低いので着地がやや窮屈に感じたり、あるいはうまく一回転できないかもしれません。しかし、それは気にすることはなく、むしろ飛び出しから180度回転するまでの体の動作をイメージすることが重要です。

　一見すると簡単な練習のように見えますが、実際にやってみるとなかなかやりごたえのある練習であることが実感できるでしょう。少しアホっぽいのですが、こういう平地での基礎練習が重要で、今から地道に練習しておけば必ずスキー場でもヘリコプターを飛べるようになります。

　それから、スキー場へいったら、いきなりエア台で飛ばずに、板を履いた状態でこれと同じことをやってみてください。板を履いている分、重くてその場での一回転は無理でしょうが、180度なら回れるので準備運動がてら何度かチャレンジしてみてください。